相続対策というと事前の対策が重要ですが、相続発生後にも必要な対応や効果がある対策があります。
相続対策は、直前にやってすぐに高い効果がでる対策ほど税務リスクや投資リスクが高くなる傾向があります。
一発大逆転ホームランを狙うほど転落の可能性が高まるという性質があり、こつこつ1本ずつシングルヒットで時間をかけてつなぐ意識が相続対策では重要となります。
70歳、80歳からの対策よりも50代60代からでも早すぎるということはありません。
これからの人生では、今日が一番若い日であるという言葉もあります。
つまり、思い立ったときが始めどきです。
生前贈与の対策の特徴として次のようなものがあげられます。
また、生前贈与の特徴については、こちらのページにも紹介しています。
生命保険を活用した相続対策として次のような方法が考えられます。
生命保険については若い方しか加入できないというイメージがありますが、貯蓄性の高い一時払い保険であればある程度の年齢まで加入が可能なケースもあります。
保険の活用による対策のメリットとして相続税の節税だけではなく、遺産分割や手続き面でもメリットがあります。
死亡保険金は相続税の対象となるいわゆるみなし相続財産ですが、民法上は受取人固有の財産とされています。
したがって、受取人が指定されていれば遺産分割の話し合いなしに受取が可能です。
配偶者の老後資金の確保や、兄弟の中で発言力のない子供のためにある程度の資金を確保することが可能です。
遺言よりも簡単に財産の行き先を確定することができることになります。
そして、名義変更の手続き等の煩わしさも少ないため、相続発生後比較的すみやかに現金を手にすることができるというメリットもあります。
相続が発生した後でも間に合う対策や、やるべき対策は残されています。
それは、相続税や所得税の節税を見据えた遺産分割の検討です。
節税のためには申告期限までに遺産分割協議を終わらせることや特例が使えるような分け方にするなどの工夫が有効となります
相続税の特例には、申告期限までに分割することが条件となっているものがいくつかあります。
したがって、特例の適用を考えているなら申告期限までに分割を済ませましょう。
※但し、申告期限から3年以内に分割が整った場合には一定の手続きを踏むことにより特例を利用できる場合もあります。
土地の評価は原則として地目ごと、利用区分ごと、取得した人ごとに評価することになります。
したがって共有でまとまった土地を相続するよりも分割して細かく相続したほうが評価が下がるケースがあります。
但し、不合理な方法による分割は相続税の回避を目的とするものとみなされ、認められないケースがあるので注意が必要です。
また、逆に共有の大きい区画で相続したほうが、広大地の特例を使える場合もあることから、遺産分割は評価に与える影響を考えて行う必要があります。
相続税の申告期限から3年以内に相続財産を譲渡すると納めた相続税額のうち一定額を取得費に加算されます。自社株を発行会社に譲渡した場合にはみなし配当課税されないというような特例もあります。
また、土地が複数ある場合などは、一次相続と二次相続の2度にわたって小規模宅地の評価減が適用できる組み合わせで遺産分割するとよいでしょう。
例えば、一次相続ですべての土地を子供に相続させると二次相続では小規模宅地の特例は適用できないことになってしまいます。
配偶者は配偶者の税額軽減などがあるため小規模宅地の特例の意味がないケースもあるため、二次相続のシミュレーションなどを行ったうえでの分割が望ましいでしょう。
生命保険や退職金などの非課税財産や香典(相続税も贈与税もかからない)などの現金収入は、二次相続(被相続人の妻、相続人親子の中では母の死亡時)などを考えて子が相続すると良いでしょう。
退職金などは受取人の順序が既に決まっている場合もありますが、生命保険などは受取人を生前に変更できる場合が多いと思います。
一次相続でお子様の相続税の納税資金が不足するケースや二次相続で高い税率の相続税が予想される場合には生命保険の受取人の確認は必須の事前対策といえるでしょう。
所得税や住民税は超過累進税率により課税されるためもともとの所得が高い人が相続すると最高税率(所得税45%、住民税10%で合計55%)で課税される危険性があります。
相続後の所得分散を考えて分割することも節税の観点では重要になります。