相続税対策の基本、生前贈与の効果的なやり方を検討しましょう。
堅苦しい言い方をすると … 贈与は、相続とは違い、お互いの合意に基づく「双務契約」です。
つまり契約行為なのです。この場合、書面によらない贈与は引渡しにより確定しますが、引渡し前なら取消が可能です。
ちょっとくだけた言い方をすれば… 「これあげるよ!」と誰かがいい、「じゃあ、もらうよ!」って答えれば、もう贈与は成立です。
不動産や有価証券などは、名義を変えただけでも贈与とされることもあります。
不用意な名義変更は贈与税を課税されるので注意が必要です。
贈与の意思がなかったとしても形式が仮にそうなら、「贈与!」と課税庁サイドからみられることもあるのです。
税金の世界での贈与は、民法の範囲よりも幅が広いようです。
自分が贈与と認識していない場合でさえ、贈与とみなされて贈与税が課税されるケースがあります。
逆に相続時に名義預金とみなされないために、贈与の事実を残しておくことも必要です。
贈与があったことを立証できなければ、贈与はなかった(貸しただけ、名義を借りただけ)と判断される可能性もありますので、注意が必要です。
贈与の事実を残しておくには…
贈与の制度は暦年課税と相続時精算課税という二つの基本の制度のほかに、特例となる非課税制度がいくつも用意されています。
昔からある特例のほか、政策的に用意された制度もあり、住宅取得資金の贈与などは年によって非課税枠が変化しますので、適用要件や限度額等は必ず事前の確認が必要です。
夫婦の間で次のすべての要件にあてはまる贈与が行われたときは、基礎控除110万円のほかに最高2000万円までの配偶者控除が受けられます。
ただし、贈与に伴う登記費用や不動産取得税が課税されますので、費用対効果を検討したうえでの判断が必要となります。
贈与税の配偶者控除の条件
上記の条件を満たす場合には、次の手順で贈与の手続きをおこなうとよいでしょう。
父母や祖父母などの直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合に、贈与を受けた年の翌年3月15日までに居住を開始するなど一定の要件に該当する場合に贈与税が非課税となる特例があります。
贈与税が非課税となる特例は毎年のように税制改正があり、制度が変更されています。
要件に該当するかどうか、非課税限度額はいくらなのか、といったことは必ず国税庁のホームページで確認してから実行しましょう。