賃貸管理や転貸方式から所有型へ不動産管理法人のトレンドも変化しています。
不動産管理法人には次の3つの方式があります。
建物所有者である資産家オーナーと借家人との間に入って、家賃の集金や管理等を同族法人で行う方式です。賃貸借契約はあくまでも建物所有者と借家人との間での契約となります。
税務調査などではたびたび管理法人の必要性や実在性(ペーパーカンパニーではないかどうか)や管理料の金額が高額ではないかという指摘を受けることになります。
管理契約書などの書類を作成することはもちろん、管理会社の業務の記録などを残すことが重要になり、第三者である外部の管理会社に頼む場合との比較で適切な運営が行われている必要があります。
時々外部の管理会社と二重に管理を委託する形になっているケースもありますが、この場合にはこの理由や管理料の根拠などの説明がつくようにしておく必要があります。
過去の裁決例などでは厳しい判断がくだされる傾向があり、外部の管理業者の管理料の水準が地域にもよりますが集合住宅等で5%~10%であることを考えると、適正管理料もこの水準になると思われます。
いずれにしてもある程度の規模がないと管理会社としての存在意義が難しいという状況になりがちといえます。
不動産オーナーから建物を借りて、借家人(転借人)に賃貸するという形式の管理法人です。サブリース方式やまた貸し方式ともいわれます。
賃貸借契約は、不動産オーナーと管理法人との間での一括賃貸借の契約書と、管理法人と転借人との間の個々の賃貸借契約書の二種類となります。
一般のサブリース型の管理会社と同じように家賃保証となりますから、転貸借方式の場合には管理法人が空室リスクを負うことになります。そのため、空室が多い場合には管理法人が赤字になる可能性もあります。
そういうリスクも考慮して管理委託方式の場合よりも実在性の説明はしやすくなり、転貸借の差額の実質管理料部分については管理委託方式の場合よりも多少は認められやすくなりますが、それでも一般のサブリース会社の転貸借差額が10%前後であることを考えると、同族法人の場合も同水準が適正であると判断されることになると思われます。
昭和の時代は50%くらいとっていた…とか、20%は大丈夫と税務署から聞いた…とか都市伝説的な話はありますが、裁決例など日々更新される分野ですので昔こうだったというのは非常にリスクが高いと思います。
資産家がお持ちの土地の上に管理法人名義で建物を建てるか、個人所有の建物を法人に譲渡することで法人名義で建物を賃貸するという方式です。
不動産の家賃収入は、建物の所有者に帰属するため借家人から受け取る家賃はすべて管理法人の収入になります。そのため上記2つの方式に比べて法人で利益を出しやすい方式になります。
個人名義の土地の上に法人で建物を所有すると、基本的には法人に借地権が認識されることとなります。この借地権の扱いをどうするかが税務上は非常に複雑な取扱いとなります。
そのため、このような取扱いについては必ず税理士等の専門家のサポートを受けることをおすすめします。
法人を活用して不動産管理や資産管理を行いましょう。
個人に帰属していた所得のうち一部を法人に移転することができます。
移転した所得を法人に残す場合において、適用される最高税率が法人の実行税率よりも高いケースでは(所得税は超過累進税率が適用されるため)、この税率差を利用した節税が可能となります。
移転した所得の一部を不動産所有者以外の親族に役員報酬などの形で分散可能となります。この場合、給与所得控除額の適用を受けることができるほか、親族内の税率差を利用した節税を図ることも可能となります。
法人契約で保険に加入することができ、保険の種類にもよりますが個人で契約するのに比べて節税を図りつつ将来のリスクに備えることが可能です。
法人の株主を不動産の所有者ではなく子供や孫などの承継者とすることで不動産管理法人の株式及び含み益を相続財産に算入されることなく承継可能です。
つまり、例えば不動産賃貸においてはアパート建築により一時的に資産が流出したとしても家賃の形で回収されていき金融資産が少しずつ蓄積されていきます。
このようなケースでも、不動産管理法人を活用することにより不動産所有者の金融資産の増加を部分的に防止し、相続財産の膨張を避けることができます。
不動産管理法人で資金を蓄積し、将来の相続発生時に個人の不動産又は不動産管理法人の株式を法人で買い取ることができれば、納税資金の捻出を行うことが可能です。
また、管理法人で役員報酬を支給している場合には死亡退職金を支給することも可能となります。