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賃貸物件の名義の決め方

土地の上にアパートを建てる場合、建物の名義で節税効果が異なります。

賃貸物件の名義の決め方

アパートなど賃貸物件の建築によって相続税対策を行う、これはオーソドックスな相続対策の一つです。

さて、ここで問題となるのがアパートの名義を誰にするか…ということ

基本的には、「資産家本人」「推定相続人である親族」「推定相続人が主宰する同族法人」の3つのケースが考えられます。

資産家本人の名義で建設する場合

資産家本人の名義で賃貸物件を建設をする場合の効果は「相続財産の評価を下げる」ことにあります。

まず、建設された建物は固定資産税評価額で相続税の評価を行うことになりますが、固定資産税評価額は建築費用の6割~7割であるためその差額分が相続税評価額の引き下げにつながります。

また、土地についても貸家建付地としての評価となるため約2割の評価減となります。

したがって、資産家本人の名義で建物を建設した場合にはその時点で相続税評価額が下がり、相続税評価額が減少します。 

一方で、建物建築から相続開始までに相当期間経過した場合には家賃相当分だけ所得税が増額するうえ保有資産が増加するため相続対策としての意味もなくなる可能性があります。

つまり、節税対策としては即効性がある方策といえます。     

推定相続人である親族名義で建設する場合

資産家の推定相続人である親族の名義で建設する場合の効果は「家賃相当額の財産を移転する」ことにあります。

資産家の土地の上に推定相続人によって建物の建築を行う場合には、土地は評価減の対象とはならずに更地としての評価となります。

したがって、建物を建ててすぐに父である資産家の方に相続が発生してしまうと、子供名義ではなく父名義で建物を建てて上記の財産圧縮効果を狙ったほうが結果的によかったということもおこります。

一方で家賃は建物の名義人の収入となるため、建物建築から相続開始までに相当期間経過した場合には家賃相当分だけの財産を推定相続人に移転することが可能となり、相続対策につながるだけでなく場合によっては所得税の節税も可能となります。

つまり即効性はないものの、相続開始まで比較的時間的な余裕がある場合、テナント物件など収益性が高くて投下資本の回収が早期に期待できる場合に有効な方法といえます。

推定相続人が主宰する同族法人の名義で建設する場合

推定相続人が主宰する同族法人の名義で建物を建設する場合の効果は「家賃相当分の財産を移転する+相続税評価額の引き下げる」ことにあります。

資産家の土地の上に推定相続人が主宰する同族法人の名義で建設すると、税務署への「無償返還の届出」を条件に一定の相続税の評価減が可能となるとともに、家賃相当額を法人から個人へと役員報酬などの形で移転することも可能となります。

評価引き下げ対策とともに、所得税対策や資産移転対策を兼ねた方法といえます。

同族法人、いわゆる資産管理法人の株主構成をどうするか、役員を誰にするか…など資産管理法人特有の論点もあり、専門家のアドバイスなどを受けながら適切な運営を心がけるようにしましょう。

特に個人の不動産物件を同族法人に移転するケースなどは借地権の問題なども生じることになるため注意が必要となります。