相続税における財産評価方法は、「財産評価基本通達」で決められています。
相続、遺贈又は贈与により取得した財産の価額は、その取得の時における時価により、債務の金額は、そのときの現況によって評価します。
相続税法に定める時価の解釈として、その評価方法が「財産評価基本通達」で明らかにされています。
財産評価基本通達は法律ではありませんが、「通達行政」といわれるように国税の世界ではそれに近い拘束力があります。
「財産評価基本通達には次のように書かれています」
1 財産の評価については、次による。
(1)評価単位 財産の価額は、評価単位ごとに評価する。
(2)時価の意義 財産の価額は、「時価」によるものとし、時価とは、課税時期(相続、遺贈若しくは贈与により財産を取得した日若しくは相続税法の規定により相続、遺贈若しくは贈与により取得したものとみなされた財産のその取得の日又は地価税法第2条《定義》第4号に規定する課税時期をいう。以下同じ。)において、それぞれの財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額をいい、その価額は、この通達の定めによって評価した価額による。
※相続による財産の取得は、相続開始時にさかのぼって効力を得るため、相続税の評価においても相続の開始があった日現在での評価となります。
(3)財産の評価
財産の評価に当たっては、その財産の価額に影響を及ぼすべきすべての事情を考慮する。
一般的な土地の評価方法には、路線価方式と倍率方式によって行われます。
一般的に土地の評価は路線価方式で行われますが、土地という財産は非常に個別要因の大きい性質があります。 つまり、土地の属性に応じて評価を考える必要があり、財産評価基本通達ではそれらの属性に応じた減価要因を認めています。
土地の評価はこれらの通達を駆使して行う必要があり、通達の内容を理解して評価に臨むことになります。
例えば土地の評価では次のような減価要因があります。
相続税の申告に不慣れな税理士のうちには、このような減額できる要因を見逃しているケースも多いようです。
土地の評価では、都市計画法や建築基準法などの不動産に関連する法規の知識や経験も要求されてきます。
財産に占める土地の割合が大きなケースでは、土地の評価に精通しているかどうかで税理士を選択する必要もあります。
建物は、その建物の固定資産税評価額(市町村が評価)によって評価します。
固定資産税評価額は、毎年役所から送付される固定資産税の納税通知書にも記載されていますが、税務署には固定資産税評価証明書を提出することになります。
未登記の建物であっても、固定資産税評価額での評価が必要となりますので、ご注意ください。
また、賃貸アパートなどの貸家の場合は、借家権割合や賃貸割合等を加味して計算することになります。貸家の場合には、一般的には7割の評価となります。