法定相続人となる親族には次の種類があります。
被相続人の配偶者は常に相続人となります。
これを配偶者相続人と呼びます。
配偶者相続人になれるのは正式な婚姻関係にある配偶者に限られ、内縁関係の妻などには相続権はありません。
※配偶者がいない場合には優先順位者がすべて相続します。
被相続人の子や孫、父母、兄弟姉妹も法定相続人となります。これを血族相続人と呼びます。
昔は家督相続制度といい、原則として長男だけが相続したり隠居の制度がありましたが、現在の民法では子供はすべて平等に扱われます。また、胎児や認知した婚姻外の子(非嫡出子)も法定相続人となります。
※半血兄弟姉妹は全血兄弟姉妹の1/2の相続分です。
※非嫡出子の場合には嫡出子の1/2の相続分しかありませんでしたが、最高裁の違憲判決を受けて、非嫡出子の相続分も嫡出子と同一とするように民法が改正されています。
法定相続人のうちに、相続発生時点で既に死亡している相続人がいる場合には、その相続の権利は 代襲相続という形で引き継いでいくことになります。
例えば、子がすでに死亡している場合には孫が、孫もなくなっている場合には曾孫が代襲相続します。
同じように法定相続人である父母が死亡している場合には祖父母が、法定相続人出る兄弟姉妹が死亡している場合には甥や姪が代襲相続します。
ただし、兄弟姉妹が死亡している場合には甥や姪まででその子供には代襲されません。
また、相続欠格や相続排除の場合にもその子供に代襲相続されますが、相続放棄の場合には代襲相続されません。
相続人が 誰かを調べるためには、被相続人の出生時から死亡時までの戸籍を全てとらねばなりません。
戸籍とは、日本人の身分を登録しているものであり、戸籍に記載されているということは、日本の国籍があることの証明ともなります。
戸籍には、その戸籍に記載されている人が、どこで生まれて、親が誰で、結婚しているのか?など身分関係を証明する公的な制度です。戸籍は本籍地の市区町村で、本籍と戸籍筆頭者名を指定して取得することができます。
ただし、戸籍については家族や税理士等の職務上必要な者しかとることはできません。
戸籍は明治4年の戸籍法から数回に渡り様式が改められ、旧戸籍上の有効な部分のみを新しい戸籍に移し変えるという形でつながってきています。
この戸籍を改めるという行為を「戸籍の改製」といい、改製後の戸籍に対して改製前の戸籍を「改製原戸籍」と呼びます。 また、改製後の新しい戸籍には、その時点で在籍するもののみを移記するため、既に籍が外れている(除籍されている者は新戸籍には記載されていません。
したがって除籍されている戸籍もとる必要があるのです。
つまり、誰が相続人であるかを正確に判断するためには戸籍を全て入手し、正確に読み取らないとならないわけです。
また、相続登記をする場合や税務署に相続税の申告をする場合にも戸籍謄本は必要となります。
戸籍謄本、除籍謄本をとった役所に改製原戸籍があるか問い合わせをする。
改製原戸籍がその役所に無い場合は、転籍前の役所で取得します。
改製原戸籍がどこの役所にあるのかを知るには戸籍謄本の一面の右上にある「○○年○月○ 日××県××市××町△△番地から転籍」を参照し、その役所に申請することが出来ます。
戸籍には戸籍の附票という帳票があり、戸籍に記載されている者が住所の変更を行った際、戸籍の附票に新たな住所が記載されます。
その結果、その人の住所の変更履歴が記載されることとなります。
その証明が「戸籍の附票の写し」です。
住民票も住所の変更を証明するものですが、戸籍の附票が市区町村外の住所の変更も記載されるのに対し、住民票では市区町村内での変更についてのみ記載するという点では異なります。
住所の証明として正式な文書としては戸籍の付票が多く用いられています。
被相続人や一定の相続人を殺人(殺人未遂を含む)するなど一定の欠格事由に該当した場合、相続人としての法律上の権利を失います。(排除と異なり家庭裁判所の手続き等も不要)
被相続人に対して虐待、侮辱や著しい非行があった場合には、被相続人が家庭裁判所に申したてるか、遺言によりその相続権を喪失させることが出来ます。
その対象者は、遺留分を有する推定相続人に限られます。