現経営者の気がかりの一つは、後継者の教育に関することだと思います。
帝王学を学ばせると大げさに考える必要はなく、経営と実務を時間をかけてじっくり経験させることが重要となります。
後継者教育としては単なる知識だけではなく、経験も必要なります。
知識と経験をバランスよく学ぶことが重要となります。
経験の積ませ方としては最初から自社に入社させて教え込むという方法とあえて他社で経験を積ませるという考え方の二つがあります。しかし、いずれは会社に入社させる時期がきます。
後継者が会社に入社すると大きく技術系と管理系に部署が分かれます。
例えば原経営者の技術者としての腕を看板に業務を拡大した製造業などでは後継者に対して技術のみを伝授する風潮がありますが、経営者としてはこれだけでは足りません。
経営者として技術のみではなく、販売や管理等にも精通しておく必要があるからです。
将来、後継者と考えているならなおさら販売や管理、製造等の様々な部署を時間をかけて経験させ、一つの分野に偏らないことが大切といえます。
また、ある程度経験を積んだ段階で子会社やある一つの事業部などを任せることも効果的な方法といえます。
社内での後継者教育
また、創業社長のうちには知識よりも経験を重視し、経営理論を軽視する方もいらっしゃるようですが、様々な意思決定や社外の利害関係者との接点などで伝統的な経営理論や最新の情報は有効に活用することも可能となります。
経営理論や会計知識など経営者として必要な知識は現場の仕事だけではなかなか体得するのは難しいようです。
このような場合には、現場を離れて外部のセミナーなどに参加することなども検討しなければなりません。
このほか、後継者として経営力を高めるためには本人が経営者としての心構えを磨き、会社の経営理念を注入するという作業も必要です。
会社の歩み、社歴をまとめるという作業や、会社の儲けの仕組みを図表化して分析するなどの作業も有効といえます。
このような経営に関する経験は、経営企画や経営計画の策定など、ヒト、モノ、カネ、情報といった経営資源を生かし、過去から未来へビジョンを達成する戦略立案を任せるというのも経験や自信を生むためには効果が高い方法となります。
後継者の使命は、先代の思いを引き継ぎ、経営者力を高め、会社を存続発展させていくことに他なりません。
このために日々、自分を高め、会社のトップとして自ら意思決定して実行することを学んでいきましょう。