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生前贈与の方法

相続税対策の基本、生前贈与の効果的なやり方を検討しましょう。

贈与とは?

苦しい言い方をすると … 贈与は、相続とは違い、お互いの合意に基づく「双務契約」です。

つまり契約行為なのです。この場合、書面によらない贈与は引渡しにより確定しますが、引渡し前なら取消が可能です。

ちょっとくだけた言い方をすれば… 「これあげるよ!」と誰かがいい、「じゃあ、もらうよ!」って答えれば、もう贈与は成立です。

不動産や有価証券などは、名義を変えただけでも贈与とされることもあります。

不用意な名義変更は贈与税を課税されるので注意が必要です。

贈与の意思がなかったとしても形式が仮にそうなら、「贈与!」と課税庁サイドからみられることもあるのです。       

贈与の証拠を残す

税金の世界での贈与は、民法の範囲よりも幅が広いようです。

自分が贈与と認識していない場合でさえ、贈与とみなされて贈与税が課税されるケースがあります。

逆に相続時に名義預金とみなされないために、贈与の事実を残しておくことも必要です。

贈与があったことを立証できなければ、贈与はなかった(貸しただけ、名義を借りただけ)と判断される可能性もありますので、注意が必要です。

贈与の事実を残しておくには…

  • 通帳やはんこは贈与者が管理するのではなく、もらった者が管理する。
  • 贈与契約書を作成する。
  • 基礎控除を少しだけ上回る贈与をして贈与税を申告、納付する。 
  • 税理士などの専門家のサポートを受ける   

制度拡充で選べる贈与制度!

贈与の制度は暦年課税と相続時精算課税という二つの基本の制度のほかに、特例となる非課税制度がいくつも用意されています。

昔からある特例のほか、政策的に用意された制度もあり、住宅取得資金の贈与などは年によって非課税枠が変化しますので、適用要件や限度額等は必ず事前の確認が必要です。


  • 暦年贈与制度 …110万円の基礎控除+累進税率
  • 相続時精算課税制度による贈与制度
    …2500万円まで非課税+超える部分は20%
     相続時に相続財産に加算
  • 非上場株式等に係る贈与税の納税猶予制度
  • 住宅取得資金非課税特例
  • 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除
  • 祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度
  • 父母などから結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度

夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除

夫婦の間で次のすべての要件にあてはまる贈与が行われたときは、基礎控除110万円のほかに最高2000万円までの配偶者控除が受けられます。

ただし、贈与に伴う登記費用や不動産取得税が課税されますので、費用対効果を検討したうえでの判断が必要となります。

贈与税の配偶者控除の条件

  • 夫婦の婚姻期間が20年以上であること
  • 贈与財産が居住用の土地家屋であること(居住用の土地家屋の購入資金及び持分の贈与)
  • 贈与を受けた年の翌年3月15日までに贈与を受けた土地家屋に実際に居住し、その後も引き続いて居住する見込みであること
  • 同一の配偶者からは一生に一回だけ適用を受けることができます。
    (再婚の場合に違う人から贈与をうけたときは適用可能です。)

贈与税の配偶者控除の手続きの手順

上記の条件を満たす場合には、次の手順で贈与の手続きをおこなうとよいでしょう。

  • 路線価(土地)と固定資産税評価額(家屋)により不動産の相続税評価額を算出する。
  • 相続税評価額のうち贈与する価額を決める。
  • 共有となる場合には、贈与する価額と全体価額をもとに共有割合を決める。
  • 贈与契約書を作成する。
  • 贈与による所有権移転登記を行う。 (贈与契約書と印鑑証明書などが必要)
  • 翌年3月15日までに贈与税の申告を行う。(特例を適用した結果税額がでない場合でも申告は必要。用紙などは税務署でもらえます。住民票や戸籍謄本、不動産登記簿などが必要です。)     

住宅取得資金の贈与に関する特例

父母や祖父母などの直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合に、贈与を受けた年の翌年3月15日までに居住を開始するなど一定の要件に該当する場合に贈与税が非課税となる特例があります。

贈与税が非課税となる特例は毎年のように税制改正があり、制度が変更されています。

要件に該当するかどうか、非課税限度額はいくらなのか、といったことは必ず国税庁のホームページで確認してから実行しましょう。